音声テクノロジーとスマートスピーカー

2017年12月4日

AppleのSiri、GoogleのVoice Searchなど、音声による文字入力が可能なデバイスの普及に連れ、アメリカでは、他国と比較し、音声テクノロジーを利用する割合が高くなっています。

2017年6月に世界の18歳以上のスマートフォン所有者を対象に行われた、音声テクノロジーの利用度調査の結果が、以下のグラフとなります。「週に最低1回」の項目に着目すると、アメリカの結果は49パーセントとなっており、アメリカのほぼ半数のスマートフォン利用者が、週に最低1回は音声テクノロジーを用いていることが分かります。これは、世界全体の結果の31パーセントと比較すると、1.5倍以上の高い数字となっています。

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スマートフォンに加え、最近は、ケーブルテレビのリモコンも音声対応になり、見たいチャネルや番組検索も、リモコンに向かって言うだけでテレビが対応をしてくれるなど、音声テクノロジーはまさしく生活の一部になりつつあります。特に、この音声対応機能は、1981年から2000年の間に生まれたミレニアルズ世代で最も人気があり、少なくとも290万人が、月に最低1回は利用しており、この数字は2019年には3,930万人までに急増するとの見方もあります。

音声テクノロジーの技術が進歩し、それと合わせて、Amazon Echo、Google Home、Microsoft Cortanaのような、いわゆる「音声テクノロジー付きスマートスピーカー」の普及が進んでおり、Juniper Researchによる2017年夏のレポートでは、2022年までにアメリカの家庭の55パーセントに相当する7,000万世帯で、1億7,500万台の音声テクノロジー付きスマートスピーカーが利用されるだろうと予測されています。

中でも、Amazon Echoを中心とするAmazonのAlexaデバイスが市場を大きく牽引しており、音声対応スピーカーでは市場の70パーセントを独占している状態です。2位のGoogle Homeが23.8パーセントということから、いかにAmazonがマーケットを支配しているかが分かります。

AmazonはAmazon Echoの売上高を発表していませんが、今年の2月には、Amazon Echoファミリーの売上が、昨シーズンに比べて9倍以上増加していると発表しています。投資銀行のRBC Capital Marketsの今年3月の予測では、2020年に6, 000万台のAlexaデバイスが販売され、インストールベースでは1億2, 800万台に達すると予測されています。

RBC Capital Marketsによる予測では、2020年にはAmazonのAlexaデバイス自体で約50億ドルの収益を生み出す可能性があることに加えて、Alexaデバイスで簡易なアイテム注文を可能にすることにより、さらなる50億ドルの小売販売を生み出す可能性があるとも言われています。

音声対応デバイスにとって非常に重要な要素の1つは、ユーザーの声をどの程度正確に認識できるかという点にあります。その認識精度が高ければ高いほど、消費者の間で人気が高くなります。逆に言うと、上のグラフにあるとおり、1度や2度は使ったことがあるというユーザーは、アメリカでは10パーセントであることに対し、世界では18パーセントとなっており、アメリカより高い数値になっているということが分かります。これは、世界全体では、数回音声テクノロジーを試してみたユーザーが、頻繁に利用するに至っていない、ということによる結果であるとも考えられます。

その理由として、英語が中心であり、自国の言語の認識がまだ向上できていないことから、世界のユーザーは音声テクノロジー自体にまだ魅力を感じていないのかも知れません。ですが、音声テクノロジー付きスマートスピーカーの普及が進むのは間違いないと思われ、今後はスマートスピーカーのほかにも音声テクノロジーを採用した別のデバイスが多くマーケットに出てくるであろうとも予測されています。