EコマースとAI、チャットボット

2018年1月15日

アメリカの消費者が1週間にEコマースに費やす時間は、平均5時間と言われています。オンラインショップでは、カタログを順番に見たり、検索によって得られる結果から商品を購入するのが大半であり、実店舗での購入のように、店舗側からのサポートを得られる機会は多くありません。小売業者は、この5時間で、消費者とより密接につながり、訪問を継続させ、売上を向上させる必要があり、このために、AIやチャットボットの利用を進めています。

Northface

AIの実装と実行は難しい作業のように思えます。しかしながら、例えば、ダウンジャケットで有名なThe North Faceは、既にIBM Watsonを活用して消費者のブラウジング動作データを収集・分析し、右イメージのように、より消費者にマッチした商品を推奨しています。

 

(L2の記事より抜粋)

 

また、小売業にとって重要な課題の一つである在庫管理においても、AIの機能が役立ちます。理想的には、オンラインとオフラインの両方で、消費者のニーズを満たすのに適した量を保持する必要があります。こういった適切な在庫管理の実現のため、既にいくつかのブランドは、IBM Watsonを利用して購入率と消費者行動を分析し、適切な在庫レベルの管理と監視を行い、在庫切れを回避しています。

一方、チャットボットは、消費者とのコミュニケーションを24時間365日で可能にすることから、特に、カスタマーサポート領域での活用が進んでいます。また、そのチャット内容は、消費者からも好感を得ていることが多く、新たな売上増をもたらすチャネルとして期待されています。事実、イギリスにおける調査の結果では、消費者の5人に1人は、チャットボットにより商品やサービスを購入することを検討していると言われています。Eコマース向けのボットを提供するXcube Labsは、アメリカの消費者への全体の対応のうち、29パーセントがボットによる自動化が可能と言っており、メッセージングチャットボット、バーチャルアシスタントボット、カスタマーサービスボット、Eコマースボットといったボットを提供しています。

2016年4月に発表されたFacebook Messenger 2.0では、ビジネス向けに特別に設計されたボット機能が追加されました。これにより、ユーザー経験が大幅に向上しています。Facebook内 では、企業とFacebookユーザーのメッセージングが増加しており、自動化された会話を含め、毎月20億件以上のメッセージがやりとりされているといわれています。ブランド意識の向上、新規顧客の獲得、優れた顧客サービスの提供等、Facebook Messengerはビジネスソリューションの中核となることが期待されています。

上記のように、Facebook Messengerを活用して成功している企業の例は次のようなものがあります。

  • Sephora

Facebook Messengerボットを使った、メーキャップなどの予約アシスタントは、モバイルアプリより5ステップを減らした3ステップでの予約を可能とし、予約率が11パーセント上昇。また、これらの顧客による店舗での商品購入増加により、売上向上に寄与している。

  • Tommy Hilfiger

Facebook Messengerボットを使い、ニューヨークで行われたファッションウィークにて、ファッションショーの会場から直接購入できる仕組みを提供。60,000を超えるメッセージが取り交わされ、他のどのデジタルチャネルよりも3.5倍売上が多かった。

  • SnapTravel

アプリをダウンロードする必要がなく、Facebook Messenger経由で直接SnapTravelにメッセージを送信し、望ましいホテルを見つけることができる。目的地、日付、予算などの基本的な旅行情報を持つボットにプライベートメッセージを送信するだけで、ボットは即時にいくつかのオプションを回答。Facebook Messengerの利用以来、1年足らずでホテルの予約額が100万ドルに到達。(SnapTravelのホームページより抜粋)

現在100,000人いると言われるボット開発者によるFacebook Messengerボットは、100,000ボットとなっており、2016年10月の30,000ボットから大きく増加しています。