自律走行車による移動サービス

2019年4月18日

自動車が大量生産、販売されてから100年以上経過するが、この間様々な新機能が開発されてきているとは言え、エンジンによる駆動と、人がハンドルを使って走行方向を変更するという自動車の根本は不変であった。だが、この数年で、電気自動車をはじめとする自動車のイノベーションが確実に起こっている。中でも、最近急激に話題になっているのが自律走行車である。

電気自動車の第一人者と言えばTeslaが真っ先に挙げられるが、自律走行車の分野ではGoogleが第一人者と言える。Googleは10年前から自律走行車のプロジェクトを進めてきており、現在Googleの親会社であるAlphabetからスピンアウトしたWaymoがその事業を引き継いでいる。Waymoの各車両に搭載されているセンサー、予測やスキャン等のソフトウェア技術により、フットボール競技場3面の広さにおける物体やその動きを認知、更に次の動きを予測して走行する。Waymoは既に何百万マイルものテスト走行を行い、何度かの事故に巻き込まれてはいるようだが、その大半は、Waymo自体の問題ではなく、相手側の過失によるようである。確かにWaymoの車は制限速度内で走行しているがゆえに、一般的な交通の流れに影響を与えているような場面が何度か見受けられた。メインコンピューターに障害が発生した場合に引き継ぐセカンダリコンピューターを始めとするバックアップシステムも組み込まれており、Waymoがカリフォルニア州のDMV(陸運局)に提出したレポートによると、システムの故障や安全上のリスクが原因で自走モードを解除して人間が運転を引き継ぐことを強いられたケースは、2015年が2,000km毎に1回であったのに対し、2016年では8,000km毎に1 回と大幅に安全性が向上している。

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(街で見かけられたテスト車両。左はGoogle時代、右はWaymo時代で、移動サービスを意識してか車両が大型化されている。)

自律走行が実現すると、今度はUberやLyftといった共有経済における運転サービスでの実用が望まれる。昨年11月、Waymoは今後2ヶ月間で国内初のロボタクシーサービスを開始する予定であることを発表、現在 ”Waymo One”として、アリゾナ州フェニックスにて正式に商用サービスを開始している。Waymo Oneは、自律走行車によるロボタクシーサービスに加えて、WalmartやAvis等の店舗間を行き来する企業社員向け移動サービスの2つからなる。

ところで、自律走行車を利用した動きはWaymo以外でも各地で始まっている。シリコンバレーに本社があるVoyageは、自律走行車を利用したシニア向け移動サービステストをフロリダ州のリタイアメントコミュニティで行ったり、韓国とシリコンバレーに拠点を置くThorDriveは、自律型車両による輸送の革命を目指したプラットフォームの開発を進めている。シリコンバレー以外でも、ボストンを拠点とするOptimus Rideは、ニューヨーク州ブルックリンでのシャトルサービスを今年後半に開始する予定でいる。また、Teslaも、テスラネットワークプラットフォームを利用したロボタクシーサービス分野に参入する計画を最近発表している。

自動車業界での”Disruptive Innovation – 破壊的イノベーション”は、大変な勢いで進んでいる。