McDonald’sのドライブスルーにおけるパーソナライゼーション

2019年7月14日

 

2017年のバーガーショップトップ500の売上は、対前年比3.1パーセント増加、店舗数は3.6 パーセント増加している。しかしながら、その熾烈な競争から、第一人者のMcDonald’sは下グラフにあるとおり2013年以降売上が年々減少し、店舗数も同様に減少している。

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2017年のReutersの記事によると、McDonald’sの売上の70パーセントがドライブスルーによるものである。そこで、McDonald’sはこのドライブスルーの売上を最大化すべく、ドライブスルーにおけるパーソナライズされた顧客体験を提供することを目的に、アルゴリズムによる意思決定ロジックを利用したパーソバライゼーションプラットフォームを提供するDynamic Yieldの買収を数ヶ月前に行った。Dynamic Yieldはニューヨークとテルアビブを拠点しており、買収金額は推定3億ドル以上と言われている。

時間帯、天気、レストランの混雑状況、トレンドなメニュー等に基づき、その時点における顧客に適した食品をドライブスルーのディスプレイに表示する。この技術により、現在オーダーしている内容に基づいた追加商品を即座に提案、表示することも可能となる。

McDonald’sでは、2018年にアメリカのいくつかのレストランでDynamic Yield技術のテストを行い、買収完了と合わせて本格的な利用を開始した。今後順次他の主要国でも拡張する予定でいる。さらに、店舗内のセルフオーダーキオスクやモバイルアプリなど、デジタルタッチポイントすべてにおいてDynamic Yield技術を利用したパーソナライゼーションを目指す。ちなみに、著者宅近くにあるMcDonald’sのドライブスルースクリーンはまだ以前のままである。当システム導入後、どのようなものを推薦してくれるか楽しみである。

 

Dynamic Yieldのプラットフォームは、化粧品小売のSephora、アパレルのUrban Outfitters、家具のIKAなど多くのオンライン小売業者も利用している。これらのブランドは、Web、モバイルWeb、アプリ、Eメールなど、あらゆるデジタルチャネルで同期可能な機械学習ベースのパーソナライズされた顧客体験を提供している。化粧品小売業者のKopariでは、購入者がWebサイトにアクセスしてきたルートや、使っているデバイスなどに基づき、パーソナライズした最適なホームページと、商品ページデザインを提供する。また、購入者が反応した広告に基づいたサイトの提供でもDynamic Yield を使用している。たとえば、Kopariのソーシャルメディア広告において、1つは商品の成分を強調した広告、別の広告では化粧品を使用した結果に焦点を当て、購入者がクリックした広告に応じて商品詳細ページを広告に関連したものに変更する。

Dynamic Yieldが2018年2月に世界700人のマーケティング責任者や担当者を対象として行った調査では、92.4パーセントのマーケティング担当者がパーソナライズの価値を信用している。しかしその利用実態は、23.6パーセントの企業のみが最高レベルでのパーソナライゼーションを、35.4パーセントが限られたセグメンテーションでのパーソナライゼーションを実施してているのみである。パーソナライゼーション活用が普及する余地は、まだまだあると言えるだろう。