クラウドコンピューティングの進化

2026年1月30日

レガシーなオンプレミスインフラストラクチャーから、より拡張性、柔軟性、費用対効果の高いクラウド環境への移行が進み、Grand View Research社のデータによると、2025年の世界のクラウドコンピューティング市場規模は、9,436億5,000万USドルと推定されている。さらに成長は続き、2026年から2033年にかけて年平均成長率16%で成長し、2033年までに3兆3,496億1,000万USドルに達すると予測されている。また、他社のデータでは、世界で最大市場の北アメリカだけで、今年中に1兆USドルを超える見込みともなっている。クラウド市場では、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの3大プロバイダーで全体の3分の2近くを占めている。

導入形態別では、高いセキュリティとデータプライバシーを確保する専用の環境であるプライベートクラウドが市場で大きな地位を占めている。IT意思決定者の53%が、プライベートクラウドの新規利活用を今後3年間の最優先事項として挙げているというデータもある。が、その一方で、変化対応力向上、リスク軽減、コスト最適化のための革新的な方法も模索しており、マルチクラウドやハイブリッドクラウドなどの導入拡大も進んでいる。これには、新たなAIデータセンター稼働によるエネルギーコストの上昇や、ハードウェアコストの増加など、プライベートクラウドにおける価格上昇の予測も後押ししていると考えられる。また、データ保護やコンプライアンス遵守を重視するソブリンクラウド(データを特定国の法制度下で管理するクラウド、詳しくは下述。)も台頭してきている。

マルチクラウドは複数のパブリッククラウドを使用するのに対し、ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、またはオンプレミスなど複数の環境を活用す る。ただし、マルチクラウドとハイブリッドクラウドは同義として使われることもある。どちらもパフォーマンスとコストのバランスをとり、セキュリティの最適化も図る。また、複数の異なる環境間でデータを共有することも多いことから、シームレスかつ安全にデータを同期、共有する必要もあり、それらのサービスを提供・管理するベンダーもある。

ソブリンクラウドは、特定の組織がデータを運用して事業を行う際に、自国の法律に準拠してデータ運用を行えるよう支援するクラウド環境である。データは特定の国または地域内に確実に保持され、国内の現地法人または信頼できるパートナーにより管理され、プライバシー、セキュリティに関する規制を満たすために設計された、特殊なクラウドコンピューティング環境で、データを国外からのアクセスから保護する。クラウドコンピューティングの話をしていると、どの国にあるデータセンターにデータが存在するのかを重視する企業が多い。上記の3大プロバイダーでもソブリンクラウド環境が用意され、ITにおける規制やコンプライアンスに関す る問題を解消することから、金融、教育、医療、製薬、政府機関などの業界で利用が進んでいる。