SASEとその重要性
2026年8月7日
Secure Access Service Edgeの略称であるSASEに関して、以前のコラムにてお伝えしたことがあるが、改めて、その機能と重要性について取り上げたい。SASEはこれまで個別に存在していた下記の5つの機能を単一のクラウド提供型モデルへと統合することにより、現代のハイブリッドワーク環境を支える上で極めて重要な役割を果たす。
- SD-WAN(Software Defined Wide Area Network):
拠点間の通信網(WAN)をソフトウェアで集中制御・仮想化する技術で、ネットワークパフォーマンスを最適化する。ハードウェアから抽象化されているため、標準的な WANよりも柔軟性と可用性に優れ、オペレーターはこのオーバーレイを遠隔で管理し、迅速な拡張、および地理的に広い範囲をカバーすることができる。 - FWaaS(Firewall as a Service):
次世代ファイアウォール(※1)による高度な脅威検査機能を、すべてクラウドインフラストラクチャー上で提供し、ネットワークアクセスポリシーの適用とハッキングの試みを防止する。
※1:企業ネットワークの「門番」として外部との通信を監視・制御する仕組みであるファイアウォールは、近年サイバー攻撃の高度化やクラウド利用の拡大に対応するため、通信の内容まで分析できる「次世代ファイアウォール」が主流となっている。 - SWG(Secure Web Gateway):
企業とインターネットの間で通信を監視・制御し、安全なウェブアクセスを実現するセキュリティソリューション。不正なウェブサイトへのアクセス防止、ウェブ利用ポリシーの適用、機密情報の漏えい防止を実現。テレワークやクラウドサービスの利用が一般化した現在、ゼロトラストやSASEを構成する重要な要素として、多くの企業で導入が進むセキュリティ対策。 - CASB(Cloud Access Security Broker ):
企業とクラウドサービスの間でアクセスを可視化・制御し、安全なクラウド利用を実現するセキュリティソリューション。SaaS(Software as a Service)アプリケーションへのアクセス制御、機密情報の保護、不正利用や情報漏えいの防止、コンプライアンス対応を支援。ゼロトラストやSASEにおけるクラウドセキュリティを担う中核技術。 - ZTNA(Zero Trust Network Access):
個人の認証を行い、承認されたアプリケーションとデータにのみアクセスを許可する。 ユーザーやデバイスを常に検証し、認証情報や利用環境などのコンテキストに基づいて、アプリケーションへのアクセス権限を必要最小限に制御するセキュリティソリューション。ゼロトラストに基づくアクセス制御を実現する技術。
ハブアンドスポーク型アーキテクチャーに依存していた従来のセキュリティモデルは、リモートからのすべての通信トラフィックは、検査のために企業の中央データセンターへと一度戻さなければならなかったのに対し、SASEはセキュリティ機能とデータルーティングをユーザーのすぐ近くであるクラウドのエッジへと移行させることで、このボトルネックを解消する。
SaaSアプリケーションの活用や、およびパンデミック以降急速に広まったリモート勤務において、SASEの導入は、多くのメリットがある。ユーザーの物理的な所在地や使用デバイスにかかわらず、常に同一のセキュリティポリシーを適用できるため、境界線のないワークスペースでも確実に保護できる。また、世界各地に分散配置されたローカルな接続拠点(PoP)を経由してデータを直接ルーティングすることにより、通信遅延の劇的な削減も可能だ。さらに、「決して信用せず常に検証する」というゼロトラスト標準に基づいて運用されることから、ユーザーのIDやデバイスの状態、その時の状況を継続的に評価し、必要最低限のアクセス権限のみを対象となるアプリケーションに対して付与する、といった強みもある。
また、SASEは、セキュリティ対策の高度化と運用管理の効率化を両立し、リスクマネジメントの強化やITガバナンスの向上、さらには事業継続性の確保にも貢献する。サイバーリスクが経営課題となる中、企業の競争力を支える重要なIT基盤として今後も導入が進むだろう。
