フードデリバリーサービス

2018年3月16日

テイクアウト(イギリスではテイクアウェイ)やデリバリーは、レストランの料理を自宅や会社で食べることができる、とても便利なサービスと言えます。

但し、テイクアウトは自分で受け取りに行く必要があり、また、デリバリーはレストラン側がデリバリー要員を確保する必要がありました。しかしながら、昨今は、ITを活用したフードデリバリーサービスの登場により、所謂「出前」を、手軽に利用することができるようになりました。

レストラン側からすると、自社でデリバリー要員を持つ必要もなく、Deliverooによるデリバリーからの売上増を期待できます。また、顧客からすると、自分でレストランに受け取りにいく必要もなく、今までデリバリーサービスを提供していなかったレストランの食事を自宅で楽しむことができます。まさにレストランと顧客はWin-Winの関係となっています。

2013年にロンドンで創業したDeliverooは、多くのレストランからのデリバリーを提供しており、このサービスの普及から、Riderと呼ばれる配達人の姿をよく見かけるようになりました。Deliverooでは、予測分析やマシンラーニングといった最新技術を活用し、カスタマーエクスペリエンスの向上を図っています。

Deliveroo

アメリカのDoorDashはデリバリーロボットも採用しており、これを2~3kmほどの短距離のデリバリーに使用しています。これにより、Dasherと呼ばれるDoorDashの配達人は、より大量の注文や少し離れた距離へのデリバリーにフォーカスすることができ、レストラン側にさらなる売上増をもたらすことが期待できます。DoorDashでは、カリフォルニアで、まず6台のデリバリーロボットを使い、順次国内で展開していく予定とのことです。

starshipこのデリバリーロボットはStarship Technologiesという会社が提供するもので、DoorDash以外でもいくつかの食品デリバリー会社がワシントンDCや他の都市で利用しています。またヨーロッパでもドミノピザがテスト利用を開始しています。

 

 

 

 

 

空では、Amazonが先駆けて有名になったドローンによるデリバリー、地上ではロボットによる食品デリバリーと、世の中が大きく変わってきていることを実感できます。

そのAmazonも、Amazon Restaurantsというフードデリバリーサービスを、アメリカ、イギリスで提供しています。これらについても、そのうちドローンで食品が空からデリバリーされる時代が来るのではないでしょうか。

また、デリバリーに関しては他に変わった試みもあります。ピザ作成過程でロボットを利用していることで有名なアメリカのZume Pizzaが、デリバリートラックの中でピザを焼きながら届けるというアイデアを、面白い形で実現しています。

Zume Pizza

写 真 に あ る よ う に 、Zume Pizzaのトラックと、デリバリーカーとして使われる車が停まっていますが、これはスタンフォード大学のすぐ近くにある駐車可能な幹線道路で、デリバリーカーはトラックの前後に数台待機していることもあります。Zume Pizzaが打ち出した新しいデリバリーモデルとは、トラックがピザを焼きながらデリバリーするのではなく、駐車可能なある拠点にトラックを停めておき、その中でピザを焼き、デリバリーカーが配達するという、”フードトラックとデリバリーサービスのコンビネーション”です。これにより、新たな実店舗を有することなく、新しくサービス地域を拡大することが可能になります。

Amazonがより多くの消費者が集まるところへの小型倉庫や受け取りポイントの構築を加速化していますが、一方で、Eコマースにおける配送期間の短縮化と同様、フードデリバリーサービスも、より消費者に近いところに実店舗ではない新しい形の拠点を構えてデリバリー時間の短縮化をはかっています。このアイデアは今後も増加すると思われます。

(イメージはStarship Technologiesのホームページより抜粋、Zume Pizzaの写真はLAJET 社提供)