2018年のホリデーシーズンとEコマース

2019年1月15日

11月、12月は小売業にとって最も忙しい2ヶ月間である。特に11月は、第4木曜日のThanksgiving、翌日のBlack Friday、翌週月曜日のCyber Mondayといったイベントが続き、Cyber Mondayの79億ドルを筆頭に、単日で売上が数十億ドルを超える。

2018年の11月1日から12月24日までの実店舗とEコマースの売上は、Mastercardのレポートによると、対前年比5.1パーセント増の8,500億ドル超となっている。National Retail Federationによる予測値が4.3 – 4.8パーセント増であったことから、その予測を上回り、過去6年間で最も売上が高かった年となったようである。それを牽引しているのがEコマースと言え、同じくMastercardによると、Eコマースでの売上は2017年より19.1パーセント増加し、総売上高の13パーセント以上を占めた。実店舗での売上が伸び悩むデパートでも、オンラインでの売上は10.2パーセント増加したようである。

昨年のホリデーシーズンを通して見受けられたポイントととして、1) セール期間の長さ、2) Eメールマーケティングの最活用、の2点がある。

1) 大手小売業者がThanksgivingに先んじてHalloween直後からホリデープロモーションを開始したことにより、11月の最初の9日間におけるEコマースの売上高は、前年同期比で3パーセント増加している。11月1日からCyber Mondayの26日までのオンライン売上高は585億2,000万ドルとなり、2017年同期の501億ドルから16.8パーセント増加した。Cyber Monday後も、Cyber WeekやCyber Monday Extendedと称して、火曜日以降もセールを継続しているブランドが数多かったこと、小売業以外でも航空会社、レンタカー、ホテル等のサービス業でもセールを行っていたこと等が挙げられる。また、実店舗の方に目を向けると、Black Fridayセールを、前日のThanksgivingの夕方から始める店舗がある等、セール開始時間が早まっている。

(右イメージは、ニュースレターより抜粋) vol.15 - 00

2) 昨年のホリデーシーズンでは、とにかく多くのEメールを日々受け取った印象が強い。11月21日から27日まで、Nordstrom、Neiman Marcus、Bloomingdale’sの各デパートから受信したEメールの数は次のグラフの通りである。Neiman MarcusのEメール量が抜きん出ていることが一目瞭然である。

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Grouponは、11月22日から24日までGroupon Black Friday、25日から27日までをGroupon Cyber Mondayといったように、Senderを使い分けて通常のEメールと区別し、多い日には1日に5通も配信していた。

最後に全体的なもう一つの特徴として、モバイルコマースの対前年比の高さがある。Adobeによると、モバイル売上は対前年比 11.6パーセント増で、スマートフォンはウェブ訪問の48.3パーセント、売上の27.2パーセントを占め、タブレットはウェブ訪問の8.8パーセント、売上の9.6パーセントを占めている。画面サイズの大型化、モバイルデバイスでのページ最適化やアプリの改善、チェックアウトの合理化等により、利便性が大幅に向上したことが要因と考えられる。