第5世代移動通信

2019年3月12日

第5世代移動通信(5G)は、ギガビットのスループット速度、10ミリ秒未満の遅延時間、優れた信頼性、セルあたり最大100万デバイスの大容量サポートの実現が可能で、昨年末からその利用が始まっている。ミリ単位の新帯域利用に加え、既存の4G LTEネットワーク上でも構築することができ、特にアメリカと東アジアでは政府が競争力を高めるために、5Gで使用する帯域のオークションを比較的迅速に進めたことから、10年前の4Gのサービス開始時と異なり、5Gの展開は急速に早まると考えられている。

特に、26、28、38、60GHzのミリ単位の帯域では、データ転送のスピード高速化と大容量化、波長の直線化、遅延の短縮により、高精細で信頼性の高いデジタルコンテンツの通信が可能になる。より拡張されたバーチャルリアリティ、マルチチャネルビデオ、高度なゲーム等の実現が可能となり、さらにクラウドでの集中処理への移行が加速することにより、今後さらに急速に普及すると考えられるIoTサポートの向上、スマートシティの構築や自律走行車のより高性能化が実現可能になる。

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(5G.co.ukのサイトより抜粋) 

新しいインタラクティブな広告フォーマットの構築、Eコマース等でのVR/ARの更なる利用、エッジコンピューティングとより分散されたデータセンターの拡張等々、5Gの恩恵は消費者のみでなく企業にとっても大きい。第三次産業革命と言われたインターネットの出現後、5Gはその革命をさらに進め、あらゆるもの、あらゆる産業、あらゆるビジネス、あらゆる消費者体験が変わると考えられている。

AT&TはMicrosoftとのパートナーシップにより、 MS Azureを利用して、ネットワークエッジコンピューティング(NEC)機能をAT&T 5Gネットワークに取り込む方法をテストしている。ビジネスサイトに地理的に近い特定の場所に高度なクラウドサービスを展開することで、待ち時間を大幅に短縮し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることが可能になり、企業は専用のオンプレミスハードウェアを必要とせずに、最適化されたネットワークルーティングへのアクセスが可能となる。

一方、消費者としては、2019年上半期から出荷開始予定の5G対応のスマートフォンの利用が待ち遠しい。Samsung S10 5G、LG V50 ThinQ 5G、Moto Z3が初夏までに販売開始予定であるのに加え、ZTE、Xiaomi、Huawei等も5G対応のスマートフォンを年内に販売予定でいる。AT&Tは、次のイメージにある通り、現在12都市にて5Gネットワークの展開を行い、2019年前半までに19都市へと展開、全米でのサポートは2020年初期までに行う予定でいる。さらに、5Gの展開がまだ予定されていない他の都市では、5G展開へのステップとして、既存のLTEネットワークを利用した、2倍のスピードでの通信が可能な5GEvolutionを400ヶ所で展開、夏までに全米の大半をカバーする予定でいる。

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(AT&Tのサイトより抜粋)

Verizonも既に、ロサンゼルス等4都市で家庭への5Gサービスを展開しており、Sprintも5月までに5Gネットワークを立ち上げる予定でいる。家庭で5Gサービスが利用できるようになると、既存のケーブルや衛星を使用したインターネットアクセスに代わり、更なる高速化も期待できる。

次グラフは、Ericssonが昨年11月に公開したMobility Reportでの5Gスマートフォンの利用予測を表しており、2019年は370万台程だが、2020年には10倍以上の5,400万台まで急成長し、5年後の2024年には全世界で14億7,870万台普及すると見られている。

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(Ericsson “Mobility Report”のデータを基に作成)