Amazonの広告収入

2020年1月6日

Amazonでの売上向上を図るには、検索結果をいかに上位に表示できるかが一つの重要な要素となっている。Amazonによるアドバイスに従い施策を推進している出店者は多いが、その一方、検索結果のランキングを高めるための別の手段としてAmazonでの広告がある。
この数年、Amazonへの広告投資が急増しており、2019年10月時点でのアメリカにおけるAmazonの広告収入見込みは、下記グラフにあるとおり、前年より33%増の98.5億ドルで、Amazonの総売上の約4%を占める。広告収入では、GoogleやFacebookと比較すると小さい数字ではあるが、Amazonはこれら2社を含む他の主要広告パブリッシャーよりも急速に成長している。
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Amazonの広告には、スポンサープロダクトとスポンサーブランドがあるが、新たな広告タイプやターゲット戦略などを進め、2019年9月には新しい広告キャンペーンとなるスポンサーディスプレイ広告を開始している。スポンサーディスプレイ広告は、以前はAmazonのプログラマティック広告サービスであるDemand Side Platform (DSP)でのみ利用できた機能で、Amazonの内外で買物客をリターゲティングできる。
さらに、Amazonは同時期にスポンサープロダクトの広告レイアウトを以前の2-4-6レイアウトから3-4-5レイアウトに変更した。それにより以前は2つだったスポンサープロダクトが3つ検索結果内に表示されるようになった。その結果、オーガニック検索結果ではなく、スポンサー商品からの商品ページビューが増えている。
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このように、広告はAmazonに多大な収入をもたらし、消費者もいち早く新商品などを見つけることができる一方、消費者やAmazonへの出店者に対しては負の効果を創出しているとも考えられている。Amazonでの検索結果は、広告支出者、Amazonやエディターの推奨商品、Amazonブランドが上位に表示され、商品検索に最も関連性の高いはずのオーガニック検索結果が下部になってしまうことにより、消費者の利便性を損なっているとも言える。
また、Amazonのクリック単価は絶えず上昇しているため、出店者は商品の価格を上げるか、利益を減らすことを余儀なくされている状態にある。さらに、スポンサープロダクトは広告が得意なブランドや小売には最適だが、通常の出店者はその効果を得ることは難しい。