メッセージによる企業との新しいコミュニケーション

2020年3月12日

企業と顧客とのコミュニケーションとして、Eメール、電話、ウェブサイトでのチャット、ソーシャルメディア等があるが、メッセージを利用した新しいタイプのコミュニケーション形態もでてきている。
そもそも、企業から受け取るEメールの開封率が20%近くであるのに対し、テキストメッセージは99%読まれているというデータもあり、テキストメッセージは顧客とのコミュニケーション手段としてより価値の高いものとなっている。

メッセージの利用例として、まずメッセージとソーシャルメディアの複合型がある。TwitterやFacebookで質問を行い、その質問に対して一般的に公開可能なところまではそのまま回答し、個人的な内容に入る段階でSMSやメッセージアプリケーションなどプライベートなコミュニケーション手段を利用して継続して対応するものである。
今までも、苦情に対する対応ではこの形態を利用する企業もあったが、最近はQ&Aでも利用され始めており、顧客関係の新しい手段とも言える。ウェブサイトにあるFAQより個人的な内容の回答を、Eメールよりも迅速に、かつ電話よりもスムーズに行うことができる。

次は、メッセージとスマートフォンの他のアプリケーションとの複合型。ここでは、 Apple Business ChatやGoogle RCSが使われている。
2018 年に開始されたApple Business Chatは、TD Ameritrade、Burberry、Home Depot、Hilton、Sprintなど、まだ一部のブランドのみでしか利用できないが、Apple Mapとの連携が行われ、地図から探した企業へのコミュニケーションを容易にする一つの手段となっている。

例えば、下記のイメージでは、Apple Mapでサンフランシスコ空港周辺のホテルを探した際に表示されるヒルトンホテルの情報を見ると、メッセージとのリンクが組み込まれており、SMSによるホテルとのコミュニケーションが可能となる。Googleはモバイル事業者と協力し、Apple Business Chatと同等機能のGoogle RCSの提供を開始したことから、今後ほぼ全てのスマートフォンで企業とメッセージにてコミュニケーションできる機会が増えると思われる。

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一方、Facebook、Twitter、TikTok、Snapchatなどのソーシャルメディア企業は、独自に企業が顧客との関係を確立するための新しい方法を検討している。
たとえば、Instagramは企業向けの新しいダイレクトメッセージサービスを今年前半に提供する予定だ。Instagramユーザーは既に企業にメッセージを送ることができるが、プラットフォームの強化により、企業がInstagramを利用してより多くのことができるように取り組んでいる。
例えば、Instagramダイレクトメッセージングは画像と通信のブリッジを提供するようになり、Instagramの投稿にあるプロダクトに対し、企業に直接問い合わせることができる。
メッセージによるコミュニケーションは一時的なものと見られやすいが、企業は顧客と永続的で長期的なコミュニケーションもできると期待しており、顧客を追跡し、会話を分析し、連絡先リストを調べ、顧客について知るためのテクノロジーコンポーネントを必要と感じている。
Instagramを所有するFacebookは、MessengerとWhatsAppに顧客関係ツールをすでに組み込んでいるが、Amplify.aiやMobitivityなどチャットテクノロジーサービスを提供する企業は、SalesforceやZendeskなどのプラットフォームとの統合により、顧客関係の管理を強化している。
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Amplify.aiのAIを利用したメッセージサービス (Amplify.aiのホームページより抜粋)