行動トラッキングソリューション

2020年8月30日

数ヶ月にわたる不要不急の外出禁止は人々の生活を大きく変え、多分ワクチンが開発されるまではこのニューノーマルを受け入れる必要がありそうである。まだパンデミックの状態では、新規感染抑制のために、人やモノとの接触を極力減らし、誰と会ったかの行動追跡分析の必要性があることから、各国の公衆衛生機関や政府が行動トラッキングのスマートフォンアプリを立ち上げている。
政府が支援する行動トラッキングスマートフォンアプリを立ち上げている日本やドイツなど9ヶ国におけるアプリのダウンロード数は軒並み高く、日本のCOVID-19 Contact App (COCOA)を始め、ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、インド、シンガポールでは、この追跡アプリのダウンロード開始後、医療あるいは健康とフィットネスのカテゴリーで数十日間継続してダウンロード第1位にランクされている。因みに、下図は日本で追跡アプリのダウンロードが開始された6月19日以降のiOSにおけるランキング状況で、医療カテゴリーでは8月26日まで連続して、アプリ全体でも数日を除いて第1位となっている。

(イメージは、App Annieのサイトより抜粋)
アメリカに目を向けると、これら各国とは異なり連邦による中央集中型の追跡アプリは存在せず、州単位で取り組んでいる状況である。そのことから、例えばユタ州が提供するHealthy Togetherアプリは、ユタ州の人口がアメリカ全体の1%に満たないにも拘わらず、州をまたがってダウンロードされているようで、ピーク時にはiOSの健康とフィットネスのカテゴリーで第43位にランクされている。

ところでハードウェアに目を向けると、Inokyoのように画期的なソリューションのコンセプトを持っているところもある。スタートアップにシードファンディングを提供するY Combinatorで紹介されたInokyo ACT (Automated Contact Tracing)は、最先端のコンピュータービジョンテクノロジーを使用し、オフィス、工場、倉庫など物理的な空間における人々の所在と行動を追跡するシステムで、個人が病気であることが判明した場合、または新型コロナウィルスの検査で陽性であった場合、Inokyo ACTのカメラシステムにより過去に接触した人物と対象を迅速に特定する。自動化された連絡先追跡によりリスクのある従業員のみテストを行い、制御不能な感染拡散や工場の完全なシャットダウンを防ぐ。また、従業員が安全な距離を維持しているか、何らかの物質を共有していないか、マスクや手袋を着用しているかといったガイドラインに沿った確認を行うことにより、リスクの最小化も図れる。