パンデミックと決済方法の変化

2020年12月22日

新型コロナウィルスによるパンデミックでは、ソーシャルディスタンスに加え、様々な”もの”とも限りない接触レスが望まれる。
この変化を大きく実感する一つとして、グローサリーストアやファーストフードなどで買い物をした際の決済がある。まず、現金による決済を禁止するところが急増した。また、たとえ現金決済ができても、コインの流通量が極端に減少したことから、お釣りがないという張り紙をしている店舗を見かけたこともある。

ところで、元来アメリカでは現金決済よりもクレジットカードやデビットカードによる決済を好む消費者も多いが、そのカードでの支払も変化したと感じる。例えば、ドライブスルーでは今までカードを店員に渡して、その店員がカードリーダーにてスワイプしたり挿入するのが主流であったが、パンデミック下では店員がカードリーダーをこちらに近づけてくれ、購入者が自分でスワイプしたり挿入したりすることが多くなった。これにより、カードを介した接触を防ぐことができる。ただ、この段階ではまだレシートの受け渡しは行われることが多い。

決済時で最も変化を実感するのが、Apple Payなどモバイル決済や非接触型カードの利用が急激に増加したことと、グローサリーストアなどでセルフレジが増加したことである。セルフレジでは、自分で商品をスキャンして決済する完全自己完了型ゆえ、レシートも含めほぼ完璧な接触レスが実現できることから、セルフレジのほうが混んでいることが多い。

非接触型カードは、新規加入時や有効期限を迎えて切り替わる際に配布されることが多いことから全ての人が所持しているわけではないが、モバイル決済は大半のカードで登録し利用ができる。私自身、今までモバイル決済はStarbucks以外では殆ど利用したことがなかったが、このパンデミックを機に頻繁に利用するようになった。
Mastercardの調査によると、 現在ではアメリカ人の51%が、これら非接触型カードやモバイルによる接触レス型決済を使用しているとのことである。但し、このような接触レス決済は、店舗側もターミナルの変更が必要となる。
世界のスモールビジネスと消費者のインサイトをまとめたVISAのレポートによると、アメリカの消費者の54%が接触レス型決済を導入している店舗に切り替えるというデータがあることから、店舗側も急速にこれらの決済への対応を進めていると思われる。
パンデミックは、新しい決済およびそのインフラストラクチャーの採用の加速化を実現しているとも言える。

最後に、一つ面白い観察結果がある。シリコンバレーのファーストフードでは、2つのドライブスルーレーンを設け、一方はカード決済のみ、もう一方はモバイル決済のみ可能としているところがあり、通常、モバイル決済のみ可能なレーンのほうが長い車列になっていることが多い。
Appleのお膝元といった特別な理由があるのかも知れないが、この界隈ではモバイル決済の利用者が多いと思われる。