ERP

2021年3月25日

Enterprise Resource Planning (ERP)は、そのまま訳すと企業資源計画となり、財務、会計、生産、人事などの管理を統合するための組織戦略であるが、統合基幹業務パッケージ的な意味合いとして使われることのほうが多い。

ERPが浸透する前は、会計、販売管理、生産管理、人事管理などの適用業務 (アプリケーション) をシステム化する場合、通常其々の業務用データベースを保持する形態でシステムが構成されていたが、ERPでは概念的にデータベースを中心に構え、各アプリケーションがそのデータベースを共有することにより、システム間での連携を保ち、効率化や一元化を図ることが可能となった。
従って、ERPを導入する際は、部門ごとに検討、導入するのではなく、部門をまたがった全社的な検討が必要であり、経営層やCIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)の占める役割も大きい。

パッケージであるが故、ERPが100%自社業務に適合していることはほぼ稀と考えられ、その際はパッケージの修正や追加開発などをして自社業務に合わせるか、適合しない部分はERPの標準機能を利用するかは各企業判断となる。前者の場合、修正、追加のための開発工数を考えると実際に利用できるまでの期間も長く、またパッケージがバージョンアップした際にコア部分と修正部分の整合性の確認、修正部分の再修正などのコストや工数が発生する。よって、後者の方法でERPを導入したほうが中長期的な視点でも効果的であり、導入の際には、修正や追加開発の抑制を念頭に置くことが肝要であると言える。

また、ERPが登場した当初は大企業での導入が大半であったが、2000年代初期以降、ERPメーカーの老舗とも言えるドイツSAP社が開発したSAP Business Oneなど、中堅・中小企業向けに開発されたミッドレンジERPが各ERPメーカーにより市場に投入された。以降、企業規模にかかわらずERPの導入が進展し多くの企業で利用され、円滑な業務運営や効率向上に寄与している。

各メーカーが販売するミッドレンジERPの基本機能は大差ないとも言え、プロジェクトの成否は、前述のとおり経営層の関与とサポートに加え、導入を支援する企業が保有する知識のスキルが大きなポイントになる。ERPそのものの知識や構築スキルは勿論、会計、販売、物流などの業務、基本機能を用いた要件の実現性検討、運用対応の可否判断、追加開発の要否、円滑な移行計画立案などのスキルや知識を保有するパートナーを選ぶことが成功裡な導入の基本要件と言える。