エッジコンピューティング

2021年6月21日

コンピューティングシステムは、ホストシステム→クライアントサーバーシステム→クラウドシステムといったように集中と分散を繰り返してきているが、次は分散型のエッジコンピューティングが注目されている。
Gartnerの定義によると、エッジコンピューティングは物や人が情報を生成または消費する場所の近くで情報が処理される分散コンピューティングトポロジーの一部となっている。

エッジコンピューティングの最大の利点は、データ処理の高速化とネットワーク伝送容量の減少によるコスト削減がある。例えば顔認識技術では、顔のスキャン後、クラウドベースのサービスを介して顔認識アルゴリズムを実行する必要があることから処理に時間がかかっていたが、エッジコンピューティング化することにより、このアルゴリズムはエッジサーバーやゲートウェイ上で、あるいはさらに進んでデバイス自体でローカルに実行でき、処理時間を大幅に減少させるとともに、エッジサーバーとクラウドとのデータ転送量を削減することができる。
特に今後は、IoTのさらなる増加に加え、高速な処理と応答が必須となるVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、自動運転車、スマートシ ティーなどの普及が加速することによ り、リアルタイム性を重視するデータ処理量が大幅に増大し帯域幅を圧迫することから、よりエッジコンピューティングの重要性が増すと考えられる。

エッジコンピューティングを加速させる要因として、第5世代通信(5G)の普及がある。また、エッジでもより多くの処理が必要となることから、人工知能機能が組み込まれた新しいシステムモジュールも登場してきている。人工知能アルゴリズムは大量の処理能力を必要とするため、それらのほとんどはクラウドサービスを介して実行されるが、高性能CPUメーカーのNVIDIAのAIチップセットはドローン、ロボット、医療機器などの小型デバイスに組み込むことが可能で、エッジで処理することによりアプリケーション内でのリアルタイム応答が向上する。
ただし、エッジコンピューティングも多くの新しいテクノロジーと同様、セキュリティ、処理電力、異なるネットワーク接続における信頼性などの問題も包含しており、データの暗号化、アクセス制御、VPNトンネリング、冗長性やフェイルオーバー管理などが今後ますます重要になってくると思われる。

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