クラウドネイティブ

2022年3月20日

企業は、新たな構想の実現や既存のシステムを置き換えるためにクラウドサービスの利用を更に推進している。これは、従来のITソリューションへの支出がクラウドに再割り当てされていることを示す。データセンターとクラウドインフラストラクチャーへの支出に関する最近の傾向は、Gartnerによる次のグラフからわかるとおり、両者の違いが顕著である。また、2024年までにシステムインフラストラクチャー、インフラストラクチャーソフトウェア、アプリケーションソフトウェア、およびビジネスプロセスアウトソーシングへのIT支出の45%以上が従来のソリューションからクラウドに移行すると予測されており、さらにクラウドに割り当てられているIT支出の割合はCOVID-19によるパンデミックで加速した。


AmazonやNetflixなどが成功した背景には、ビジネスに付加価値をもたらすスケーラビリティと俊敏性がある。因みに、スケーラビリティと俊敏性は、ベンチャーキャピタルが投資を行ううえでの重要な二大判断基準とも言える。インフラストラクチャーをパブリッククラウドで実行することで、より迅速に価値を生み出し、ビジネス目標に集中することが可能となる。ここでは、特にクラウドネイティブが重要な要因となっていると思われる。

従って、レガシーアプリケーションをクラウド移行する際、本来のクラウドネイティブの持つ利点を活かせない移行となるのであれば、それらのアプリケーションは真のクラウドネイティブと見做すべきではない。

クラウドネイティブとは、クラウド環境向けのアプリケーションまたはサービスを構築するためのアプローチと、それらのアプリケーションおよびサービスの特性を指す。また、クラウドネイティブインフラストラクチャーは、クラウドの利点を活用するために構築され、クラウドにのみ存在するアプリケーションを効果的に実行およびサポートするハードウェアとソフト ウェアと定義される。

クラウドインフラストラクチャーに必要な基盤となるハードウェアは、仮想化に移行するにつれて、メーカーなどに開発や修正権のある独占的なハードウェアは段階的に廃止され、ソフトウェアの実行にのみ必要な汎用の市販ハードウェアであるホワイトボックスの採用が進んでいる。クラウドネイティブ環境で実行されているソフトウェアは、プログラム可能なインフラストラクチャーで、コードとして記述され、ソフトウェアとして実行され、クラウドプロバイダーによりクラウドを介して提供され、クラウド内にのみ存在するように開発されている。

また、クラウドへの移行は二酸化炭素排出量を年間5,900万トン削減できるというメリットもある。これは、2,200万台の自動車を道路から取り除くことに相当する。国連グローバル・コンパクトにて、半数近くのCEOは今後10年間で自社はネットゼロになると見ている。また、2013年から2019年の間で、環境、社会、ガバナンス (ESG)のパフォーマンスが一貫して高い企業 は、同じ期間にESGのパフォーマンスが低い企業よりも4.7倍高い営業利益と低いボラティリ ティを享受しているというのも、クラウド化への後押しとなりそうである。