迫りくる2025年の崖 今からできる対策とは

2022年5月25日

 2022年も早いもので3分の1が経過しており、「2025年の崖」が刻々と近づいています。2018年9月に経済産業省が発表したDXレポート*にて「2025年の崖」という言葉が使用されIT業界を中心に大きな注目を集めました。同レポート内では複雑化・ブラックボックス化された基幹システムを解消すべくDX化を推進することが訴求されており、実現ができない場合、2025年以降で最大12兆円にも及ぶ経済損失が発生しかねないと警鐘が鳴らされています。

本ニュースレターではそもそも「2025年の崖」とはどのような問題なのか、そして今からできる対策についてご紹介いたします。

1.「2025年の崖」とは?

 現在の日本企業の多くはこれまで構築してきた旧式の基幹システム、いわゆるレガシーシステムを利用していると言われています。このレガシーシステムの多くは部署や部門毎に独立して構築されている場合が多く、全社・全組織として横断的に上手く利用されていない点等が指摘されています。「2025年問題」として別途問題提起されている通り、同年にはいわゆる団塊世代と呼ばれる方々が全員75歳以上となり超高齢化社会を迎えます。これにより労働力不足がより深刻化されることが懸念されており、先述したレガシーシステムの見直しに手をかけられない状態が発生すると言われています。

 また2025年には21年以上運用しているレガシーシステムが日本国内で6割を超えると予想されており、このまま2025年まで複雑化したレガシーシステムを塩漬けにし続けた場合、システムの運用・管理自体が困難な状態に追い込まれるだけでなく、デジタル競争の敗者となってしまうシナリオが描かれています。

 こうした課題に企業が上手く対処できなかった場合は2025年を境に以下のようなリスクが生じると警鐘しています。

システムを利用するユーザに生じるリスク

  • 爆発的に増加するデータを活用しきれず、デジタル競争の敗者に

例)データを活用しきれず、DXを実現できないため、市場の変化に対応して、ビジネス・モデルを柔軟・迅速に対応することができない

  • 多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難に
  • サイバーセキュリティや事故・災害によるシステムトラブルやデータ滅失・流出等のリスクの高まり

 

2.「2025年の崖」に向けて今からできる対策

 「2025年の崖」に向けて3年を切った今、私たちはどのような対策を講じていくことができるのでしょうか。同レポートでは以下のような施策の推進を各企業・組織へ求めています。

Ⅰ.経営戦略を踏まえたシステム刷新を経営の最優先課題とし、計画的なシステム刷新を断行する(業種・企業ごとの特性に応じた形で実施)

Ⅱ.不要なシステムの廃棄、マイクロサービスの活用による段階的な刷新、協調領域の共通プラットフォーム活用などにより、リスク低減を図る

 Ⅰについては経済産業省より策定されている「DX推進指標**」というチェックリストを利用してまずはDXに対する自社の現在の立ち位置を確認し、やるべきことの確認から始めましょう。**参考:DX推進指標

 Ⅱについては私たちでもすぐに検討可能なことがたくさんあるのではないでしょうか。例えばレガシーシステムの代表例としてよく取り上げられているFAX。メールやファイル共有サービス等を有効利用する方法や、eFAX等のサービスに置換を実施することはハードルが低く始めることが可能です。このように身近なところから少しずつ社内でのシステム改善を実施していくことは可能です。

 「2025年の崖」へ対策を講じることはシステムの改善だけでなく、現在利用しきれていないデータ等を活用し、新しいビジネスを創出していくきっかけにもなります。また新システムにより業務モデルを統一化することで、業務改善・効率化にも繋がっていくでしょう。

*参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

※同レポート内ではSAP ERP 2025年サポート終了との情報が記載されておりますが、2027年末までに延長されております。但し、延長サポートを受けられるのは、SAP ERP 6.0のエンハンスメントパッケージ(EhP)6~8を利用している企業に限られます。

弊社ではDX推進に関するソリューションの提供・コンサルテーションサービスのご紹介等を実施しております。是非お気軽にお問い合わせくださいませ。

引き続き、ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。