人工知能

2023年4月20日

最近、ChatGPTなど生成型のAIが急速に話題となっているが、今月から数回に渡り、人工知能 (AI: Artificial Intelligence)に関する紹介をしたいと思う。
IBMによると、人工知能とは、コンピューターと機械を活用して、人間の頭脳の問題解決能力と意思決定能力を模倣するもの、と定義されている。また、人工知能の一種として考えられているものに、機械学習 (ML: Machine Learning)がある。人工知能には人間の知性を模倣できる機械のアイデアが含まれているが、学習能力は含まれておらず、機械学習により特定のタスクを実行する方法を機械に教え、パターンを識別することで正確な結果を提供できるようになる。つまり、多くのケースを学習することにより、機械学習はより学び、より的確な識別が可能となり、人工知能の能力が向上すると言える。

人工知能の研究は1950年代から行われている。より注目を浴びるようになった例として、皆さんもご存知かもしれないが、1990年代後半にIBMのスーパーコンピューターによるチェスAIシステムの”Deep Blue”が、チェスの世界チャンピオンに勝利したことがあげられる。”Deep Blue”は、チェス盤上の自分の駒と対戦相手の駒を識別し、両方のプレーヤーにとって次にどのような動きがあり得るかに基づいて予測を行い、最良の動きを選択するというタイプの人工知能であった。
また、AppleのSiriやAmazonのAlexaなども、音声対話型の人工知能である。

人工知能はさらに進化し、人間の脳の神経が連携して機能する方法を模倣することができるようになった。過去を調べて、特定のオブジェクトや状況を監視でき、これらの観察結果が人工知能に組み込まれ、その行動が過去と現在の両方のデータに基づいて実行できるようになる。まさに、自動運転車がその例で、信号機、標識、カーブ、道路の隆起などの情報がシステムに取り込まれ、道路上の他の車の速度、方向、近接性を監視し、車線変更のタイミングを適正化し、衝突を防ぎ、他車の走行の妨げにならないよう制御を行う。

将来的に人工知能は感情や自己意識を有し、創出された思考や感情がどのように影響し、その結果としの反響を理解していくようになるかも知れない。まさに、映画で見かけるような世界になってしまうが、そうなると人間がコントロールできる領域を超えてしまうし、また、知性、記憶、学習、意思決定など人間の脳の仕組みは複雑なことから、人工知能が自己認識できるようになる日はそうすぐには来ないと思いたい。

このような人工知能の進展の背景が存在する一方、生成型AIは、新しいコンテンツ、チャット応答、デザイン、合成データ、または人物画像合成のディープフェイクなどを生成することができる点で、パターンの検出、意思決定、分析の強化、データの分類、不正行為の検出などに重点を置いてきている従来型の人工知能とは異なる。生成型AIは、多くの場合においてニューラルネットワーク技術(注1)を使用し、膨大な量のデータを処理して独自の出力を生成する。ここでは、大規模な言語モデルにより、コンピュータープログラムがテキストを簡単に理解し、新しいコンテンツを生成できるようになる。次回以降は、この生成型AIに焦点をあて、その種類や利用例をご紹介したいと思う。

注1:二ューラルネットワーク(Neural Network)は、脳の神経回路の一部を模した数理モデルで、人工知能を支える技術の1つ。