Metaにおけるオフィス復帰

2023年8月15日

今回は、パンデミック後のリモートワークに関してご紹介したいと思う。ITのスタートアップ企業の多くでリモートワークが行われており、オフィスにはほとんど社員はいないと言われている。特に物価の高いシリコンバレーでは、オフィスの賃貸費用も突出して高く、リモートワークの実践により、オペレーションコストを大幅に下げることが可能であり、メリットは大きいはずである。

しかしその一方で、旧FacebookのMetaやAmazonなど大手企業では積極的なオフィス勤務回帰が進行している。最近のニュースによると、Metaでは従業員向けに”オフィス復帰 -Return to Office (RTO)”に関する最新のポリシーを発表した。これによると、完全なリモートワークが承認されている社員以外に対して、オフィスへの出勤が厳密に義務付けられ、 フルタイム従業員は週に3日の出社が求められている。また、従業員バッジを活用した勤怠管理、従業員の物理的位置を常に表示する義務などがあり、この新規則は9月5日に発効するとのことである。さらに、新たな規則に従わない従業員は解雇または解雇される危険があるとポリシーに記載されているようである。

一見、かなり厳しく見えるMetaのRTOポリシーだが、この動きはAmazonでも同様のようで、従業員は週に少なくとも3日は割り当てられたオフィスで勤務することが求められているようである。また、Googleではオフィス勤務が週3日に満たない場合、業績評価に影響を与える可能性があるとしている。

ところでMetaでは、完全なリモート勤務を前提に雇用された従業員、またはすでに完全なリモート勤務が承認されている従業員が働き方を変更しないことは引き続き許可されている。また、リモート勤務を希望する他の従業員は、リモートワークの申請を行い、会社での勤務期間や業績評価などを考慮のうえ、正式に承認される必要がある。ちなみに、その条件の一つとして、Metaでは勤続年数が18ヶ月以上と規定されている。

尚、2023年9月5日発効のMetaのRTOの内容は以下のとおりとなっている。

  • 9月5日より、オフィスが指定されている全従業員は少なくとも週に3日出社しなければならない。
  • 出社には、クライアントとのミーティングも含む。
  • すでにリモートワークが認められている従業員については、社内イベントやミーティングなどの明白な理由がなければ、2カ月に4日以上出社することを禁止する。
  • 社内のプロジェクトやチームのリーダーは、出社する曜日や組織別のロケーション戦略を決められる。このプロセスは進行中で、従業員は決められたスケジュールに従うことが期待される。
  • 組織のロケーション戦略外で働くリモートの従業員は、転勤が求められることはない。ロケーション戦略は、将来の雇用や異動の指針となる。
  • リモートワークは「限られた、認められた従業員」に限定される。
  • Metaは、RTOとリモートワークポリシーの遵守を確認するため、従業員のバッジ、またはオフィスやオフィス内の特定のエリアへの出入りに使用されるIDカードのデータを追跡する。
  • 管理者は従業員の「バッジデータ」を追跡する。管理職は、各従業員のステータスツール(従業員がどこで仕事をしているかを表示するための社内ツール)も追跡する。どちらも、オフィス内勤務者とリモート勤務者について毎月評価され、違反が見つかった従業員には通知される。
  • 従業員がRTOのルールに従っていないと分かった場合、年2回の業績評価に影響し、懲戒処分や解雇になる場合もある。

オフィス勤務のメリットとして、チームとしての協調と一体感、他社員との容易なコミュニケーション、資料のアクセス、緊急ミーティングの招集、勤務状態の把握など、マネージャー、従業員それぞれに多々あり、一旦リモート勤務の利便性を感じている社員をオフィスに復帰させるには、このくらいの厳格さが必要なのかも知れない。

LinkedInのMata求人ページより