情報リテラシー教育とは何か

2023年12月13日

今やITは、業務を動かす基盤であるのみでなく、メディア活用やデータ分析など、ビジネスの進展のためにもなくてはならないツールとなっています。様々な課題を解消し、かつ、企業収益を最大化すべく日々沢山のITソリューションが生み出されていますが、これらを導入することだけで一安心してしまっても良いのでしょうか。情報を取り扱うのは人間。ITを用いてどのような結果を出すことができるかは、ユーザーのIT知識に大きく左右されると言えるでしょう。

今回は、昨今の企業運営になくてはならない、”情報リテラシー教育”についてご紹介します。

◆情報リテラシー教育とは

「リテラシー」とは本来、「文字や文章を読む、内容を理解して文章を書く能力」のことを指します。昨今は、この「理解して、書く」という意味をもとに、「理解して、活用する能力」という意味合いで使用されることが多いようです。

では、情報リテラシーという言葉も、単純に、情報を「理解し、活用する能力」という意味でとらえるべきものでしょうか。これについては各国、各団体で異なる解釈がありますが、例えば、総務省では、「ICTメディアリテラシー」という言葉を用い、これを以下のように定義をしています。

“情報セキュリティ対策や情報モラルへの配慮といった、情報化社会の影の部分への対策だけでなく、ICTを活用してやりたいこと(目的に応じて的確に調べ物をする、人と適切にコミュニケーションをとる、インターネットを使って買い物をする等)が円滑に行え、光の部分を享受できるようにすること“

情報技術分野に対して用いられる「リテラシー」については、「活用」と「対策」の双方がポイントとして述べられています。適切な「対策」をとり、様々な脅威から情報と自分を「守る」ことも重要な要素としてとらえられているようです。

◆何を学ぶべきなのか

では、具体的に何を学ぶことで情報を「活用」し、「守る」ことができるのでしょうか。

情報リテラシーを学ぶ場は、大きく、学校等の教育機関、および企業の2点に分けられます。我々「企業」の観点で考える場合、以下の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が定義する「ITリテラシー」のうち、必要となる知識領域として定義される4分野がこの質問に対し参考になります。

A. ITの動向

B.ビジネスの改善・刷新

C.リスク対応

D.ITへの投資

将来の成長や競争力強化に向けては、刻々と進化するITの潮流やこれらを活用した新たなビジネス形態の可能性が自らのビジネスにどう影響するかを的確に捉え(A. ITの動向)、速度感を持ちながらビジネスの改善や刷新に取り組む(B. ビジネスの改善・刷新)ことが重要であり、その際には、同時にセキュリティを含めたリスクにもぬかりない対応が必要となる(C. リスク対応)また、ビジネスとITの活動の一体性が高まっている現在においては、IT技術者との円滑なコミュニケーションを図るため、非IT技術者としてもITへの投資に関わる一定の知識が求められる(D. ITへの投資)” 

IPA 「ITLS(ITリテラシースタンダード)の概要」より引用

自らのビジネスと、現在の課題を鑑み、必要な情報技術を理解・取捨選択したうえで利用、そしてこの情報技術により取り扱われる情報を適切なセキュリティとともに管理する。

これを可能にする人材となるため、もしくはこのような人材を育成するために、学ぶべき内容を選出していくことが、ビジネスに情報を「活用」し、また、その情報を適切に「守る」ポイントとなると考えられます。

◆どうやって学ぶのか

情報リテラシーに関連するコンテンツに触れるには、以下のような手段があります。

  1. 企業内の資産を活用する

企業によっては、自社で情報リテラシー教育の資料やツールを作成されています。自社のビジネスやセキュリティーポリシーに沿った内容となっていることもあり、これらを活用することで、より効率的にビジネスに直結した情報を学ぶことが可能となるといえます。

2. 外部のリソースを活用する

1) 公的機関が発行している教育資料を用いる

総務省、文部科学省、独立行政法人情報処理推進機構などの公的機関が情報の提供を行っています。

メディアセキュリティ、安全な情報利用、といった内容に重点を置かれている資料が特に多くみられます。

2)ソリューションプロバイダーが提供しているコンテンツを活用する

Microsoft等、無償で情報の提供を行っている企業も存在します。

3)有償サービスの利用

企業内で情報リテラシー教育のコンテンツを探すことが難しく、かつ公的機関やソリューションプロバイダーが提供しているコンテンツではスコープが異なると思われる場合には、外部の有償サービスを用いることも手段となり得ます。Udemy, Pluralsight等のサービスが代表的な例となります。

情報リテラシー教育に関するご質問、ご不明点、ご相談事項等ございましたらお気軽にお問合せくださいませ。

引き続き、ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。