欧州におけるSDGsの取り組み
2024年1月30日
多くの方が既にご存知かと推察いたしますが、2015年9月の国連サミットで一致して採択された「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」では、2030年までの国際目標として持続可能でより良い世界を目指すことが掲げられ、貧困の撲滅、飢餓の終結、良質な教育の普及、ジェンダー平等の達成、持続可能な都市とコミュニティの構築など、17の目標と169の具体的なターゲットから構成されています。
今回は、欧州でのSDGsの取り組みの一環としてのEU循環型経済(EU Circular Economy)について簡単にご紹介いたします。
循環型経済とは、廃棄物の発生を最小限に抑えながら、製品、材料、資源を使用後に製品サイクルに戻すことで、その価値を可能な限り長く維持することを目的としています。廃棄される製品を減らし、また採取される材料を少なくすることで、環境に配慮した循環型の経済モデルの構築を目指しています。一連のプロセスは製品のライフサイクルの初期段階から始まり、EU循環型経済の概念の下に設計された製品や生産プロセスは、限られた資源を節約し、非効率な廃棄物処理を回避し、新たなビジネスチャンスの創出にも貢献するものとされています。
欧州委員会は2015年に循環型経済行動計画を公表し、2020年3月には、先の循環型経済を更に促進する為の新たなアジェンダである新しい循環経済行動計画(Circular economy action plan:CEAP)を採択しました。
EUの循環型経済への移行は、天然資源への圧力を軽減し、持続可能な成長と雇用を生み出すものであり、EUが掲げる2050年の気候ニュートラル目標を達成し、生物多様性が失われることを食い止めるための前提条件となっています。
新しい行動計画では、製品のライフサイクル全体を対象とした取り組みが発表され、製品の環境負荷の80%を決定づけると言われる製品の設計方法も対象とし、リサイクルが容易な設計や短期間での劣化の防止等が義務付けられています。
欧州委員会ではこれらの方針に基づき、更なる循環型経済プロセスを促進し、持続可能な消費、廃棄物の発生を抑え、使用された資源を可能な限り長くEU経済内にとどめておくことを目指しています。
以上、欧州の循環型経済について簡単に説明しましたが、欧州のみならず、「持続可能な開発」が世界的なテーマとなっている昨今、企業は社会の一員として一層SDGsへの貢献が求められています。
不確実性が高い現代社会において、先行きを見通すのは簡単なことではありませんが、DX(デジタルトランスフォーメーション)としてのITを利活用しつつ、持続的なビジネスを構築できる可能性を高めることが重要です。