人工知能(AI)をわかりやすく解説!

2024年4月12日

人工知能(Artificial Intelligence 、略称:AI)という言葉は1956年に1956年にアメリカのコンピュータ科学者ジョン・マッカーシーによって生み出されましたが、映画「イミテーション・ゲーム」をご覧になりご存知の方も多い英国の数学者アラン・チューリングは、1950年に機械が考えていると認識する基準である「チューリングテスト」を発案しており、マッカーシーもこれに触発されたという説もあります。コンピューター技術の発展に大きな貢献をしたチューリングも機械(コンピューター)が考えるということに半世紀以上前に着目していたのは、興味深いところです。

その後、限定的な自然言語処理や環境認識が1960年代に可能になり、70年代にはスタンフォード大学で化学分野と感染症治療領域のエキスパートシステムが開発され、その後のAI技術の開発に大きな影響を与えました。

1997年にはIBMが開発したディープブルーがチェスの世界チャンピオンを破り、2011年には同じくIBMのワトソンがクイズ番組で人間に勝ち、2016年にGoogleのAlphaGoが囲碁の世界チャンピオンを破り、複雑な複雑なゲームでのAIの優位性が示されました。

現在、高度なアルゴリズムと大量のデータに対応できるコンピューティング・パワーとストレージの性能向上により、AIは様々な産業に応用され、今や多くの企業の業務や戦略に大きな影響をもたらす技術として位置付けられており、積極的な投資が行われています。
今回は、今やビジネスにおいて必要不可欠な技術となったAIについて、その概要から多くの企業が求める理由等を、分かり易くご説明いたします。

人工知能(AI)とは
AIは、コンピューターシステムが人間の知能と同等またはそれ以上の能力を模倣・実現する技術や分野を指し、問題解決、学習、推論、意思決定、認識、理解などの様々な能力を持つことができます。

AIは大きく分けて以下のような種類があります。

・弱いAI(Weak AI)
特定の任務や領域において人間と同等以上の性能を発揮することができますが、一般的な知能を持っているわけではありません。例えば、チェスや囲碁のプレイヤーのように、特定のゲームで優れたパフォーマンスを示すAIがこれに該当します。

・強いAI(Strong AI)
弱いAIと比較し「自意識」を持ち、また、人間と同等またはそれ以上の一般的な知能を持つことができると考えられています。自己学習の能力を持ち、様々なタスクや状況に適応できるとされていますが、現在の技術水準ではまだ実現されていません。

AIの実現には様々な技術が用いられますが、代表的なものとして以下の4つがあげられます。

1.機械学習(Machine Learning)
データからパターンを学習し、予測や意思決定を自動で行うための技術です。代表的な手法には、ニューラルネットワーク、決定木(ディシジョンツリー)、ランダムフォレストなどがあります。

2.ニューラルネットワーク
人間の脳を模倣した構造で、多層の「ニューロン」(処理ユニット)から構成されています。これは特に画像や音声認識に効果的で、複雑なパターンを識別するのに優れています。

3.決定木(ディシジョンツリー)
データを「はい」か「いいえ」で答えられる質問によって分岐させ、分類や予測を行います。そのシンプルさから、結果の解釈が容易なため多くの場面で使用されます。

4.ランダムフォレスト
複数の決定木を組み合わせたモデルで、各木の予測を平均取ることにより、一つの木が持つバイアス(偏り)を減少させます。これにより、全体としてより正確で頑健な予測が可能になります。

これらの方法は、医療診断、金融分析、顧客行動の予測など、多様な分野で応用されています。機械学習はそれぞれの問題に最適な手法を選ぶことで、効率的な解答を提供する強力なツールです。

ディープラーニング(Deep Learning)
脳の神経細胞ネットワークを模倣した計算モデルを用いて、 大規模なデータセットから階層的な特徴を学習する機械学習の一分野です。多層のニューラルネットワークを用いて高度な認識や予測を実現し、画像認識、音声認識、自然言語処理などに効果を発揮します。

自然言語処理(Natural Language Processing, NLP)
コンピューターが自然言語を理解し、生成するための技術です。この技術は、テキストや音声データから意味を抽出し、機械翻訳、感情分析、テキスト解析、チャットボットなどに応用されます。具体的には、単語や文を数値化し、機械学習モデルを用いてパターンを学習します。たとえば、メールから自動で重要な情報を抽出したり、ユーザーの質問に自動で回答するシステムがこれに該当します。この分野は急速に発展しており、日常生活での利用が拡大しています。

知識表現と推論(Knowledge Representation and Reasoning)
データや知識を形式化し、論理的な推論や意思決定を行うための技術です。コンピュータが人間のように思考し、問題を解決するための技術です。知識表現は情報をコンピューターが理解できる形式で整理し、保存する方法を指します。例えば、ルールや事実をデータベースに整理しておくことがこれに該当します。推論は、その保存された知識を使って新しい事実を導き出すプロセスです。この技術は、質問に答えたり、診断を行う医療支援システムなど、多くの応用が可能です。知識表現と推論を用いることで、コンピューターにより複雑な思考が可能になります。

AIのビジネスニーズ
これらのAI技術は、医療診断、自動運転、金融取引、製造業、教育、エンターテイメントなどで利用されています。では、具体的にどのような文脈でこれらの技術はビジネスに組み込まれているのでしょうか。
以下に主要なビジネスニーズを挙げてみます。

業務効率化
企業はAIを使用し、業務プロセスや作業の効率化を図ることができます。
日々の作業を自動化し、正確性を向上させることで時間とコストを削減します。具体的には、データ入力、顧客サービス、在庫管理などの繰り返し作業にAIを活用。機械学習を使って販売予測を行うことで、必要な在庫量を最適化します。また、ドキュメントの自動整理や分析を通じて、情報のアクセスを迅速にし、意思決定を支援。このようにAIは多方面で業務を効率化し、ビジネスを加速させています。

顧客サービスの向上
自然言語処理やチャットボットを利用した自動応答システム、顧客の嗜好やニーズを理解するための分析などが含まれます。
例えば、チャットボットはウェブサイトやメッセンジャー上で24時間顧客の問い合わせに対応し、待ち時間を削減します。これらのボットは自然言語処理(NLP)を活用して人間の言葉を理解し、最適な回答を提供。また、AIによる音声認識を使った自動応答システム(IVR)は、電話での顧客対応を自動化し、より迅速に問題を解決します。さらに、AIは顧客データを分析してパーソナライズされたマーケティングや推薦を行うことも可能です。これにより、顧客満足度の向上と共に、企業のリソースをより重要な業務に集中させることができます。

マーケティングと広告 
マーケティングキャンペーンのターゲティングやパーソナライゼーション、広告の効果測定などを行うことができます。顧客の行動や嗜好を分析し、より効果的なマーケティング戦略を構築することが可能です。
特に、AIは大量のデータから顧客を細かくセグメント化し、それぞれに最適な広告を配信することで、クリック率や転換率を向上させます。また、個々の顧客に合わせたパーソナライズされた推薦やプロモーションを行い、顧客体験の向上を図るとともに、市場のトレンド予測により新たなマーケティングチャンスを捉えることが可能になります。

製品開発とイノベーション
製品やサービスの開発プロセスを改善し、新しい製品やサービスを生み出すことができます。機械学習やデータ解析を活用して市場ニーズやトレンドを理解し、製品の改良や新製品の開発に役立てることができます。また、データ駆動型の洞察が設計を革新し、開発サイクルを短縮しコストを削減する効果も期待できます。

リスク管理とセキュリティ 
不正行為やセキュリティ違反の検出、データの保護とプライバシーの確保、リスクの予測と防止などリスク管理やセキュリティの強化が行えます。 AIをリスク管理とセキュリティに活用することで、企業は潜在的な脅威を事前に特定し、迅速に対応策を講じることが可能になります。AIシステムは大量のデータをリアルタイムで分析し、異常なパターンや不審な活動を自動で検出します。これにより、詐欺防止、サイバー攻撃のリスク軽減、およびシステムの全体的な安全性の向上を図ることができます。AIはリスク評価を精密に行い、予防措置を適切に配置するための重要なツールとして機能します。

労働力と人材管理
応募者のスクリーニングや選考プロセスの自動化が行え、従業員のパフォーマンス分析やフィードバックを通じ個々の成長と能力開発をサポートし、退職率の低下にも寄与します。 労働力の管理や人材採用のプロセス改善を行うことで労働力の最適化を進めることができます。さらに、AIによる予測分析は、人材ニーズの予測や、労働市場の変動に迅速に対応する戦略の策定を可能にします。このようにして、AIは人材管理を戦略的に進化させ、企業の競争力を強化します。

多岐にわたるビジネスニーズに対応するため、企業はAIを活用する戦略の構築を推進しています。実際にテクノロジー業界においては、Apple社のティム・クックCEOがAIに関する具体的な戦略を年内に公表する方針を2月に発表しています。Microsoft社やGoogle社に先行を許し、追いかける立場にあるApple社は、多額の投資を行い自社製品を利用する消費者へ生産性や問題解決などの面で画期的なチャンスを提供すると伝えています。(ロイター/Dedo Ruvic 2024年2月28日)

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