Apple Vision Proと生活の変革

2024年2月25日

テクノロジー業界市場では、Google (Alphabet)、Amazon、Facebook (Meta)、Apple、いわゆるGAFAによる実質的な寡占状態が進んでいると言っても過言ではない。これに、Microsoftも加えてGAFAMとも言われることもあるが、これらの企業のイノベーションにより、私たちの生活は大きく変わってきており、今後も変わり続けることであろう。

GAFAの動向は常に注目されているが、最近の話題として大きな注目を浴びているのが、2月にアメリカで販売開始されたApple Vision Proだ。これは、iPhoneなどスマートフォンの出現によるモバイル革命以上の変革になるのではないだろうか。

Vision Proは、使いやすさおよび技術の進歩により、今までのデバイスとは異なる大きな進化を遂げている。販売開始時の値段は、最低スペックでも3,499ドルと、かなりの高額ではあるが、今後より手頃な価格になれば、生活を一変させるデバイスになりうる。

(イメージは、Appleのホームページより抜粋)

Vision Proは、複合現実 (MR:Mixed Reality)の世界への入り口であり、仕事、教育、医療など、さまざまな分野の業務を変革すると考えられる。MRとは、現実世界の環境とコンピューターで生成された環境の融合を表す用語で、物理オブジェクトと仮想オブジェクトが複合現実環境に共存し、リアルタイムで相互作用する場合がある。MRは、デジタル要素を重ね合わせた現実世界/物理世界のビューである拡張現実 (AR:Augmented Reality)や、完全に没入型のデジタル環境である仮想現実 (VR:Virtual Reality)を超え、それらの先にあるものとも考えられる。AR、VR、MRの活用により、ゲームや娯楽の世界のみでなく、主要分野の業務までも再定義し、今までの生活とは大きく異なる影響を与えるであろう。

大きな変革が期待される業界の一つとして、ヘルスケア分野がある。調査会社による世界のAR、VR、MRヘルスケア市場は、2022年に24億ドルと評価されたが、2032年までに約140億 7,000万ドルに急増すると予測されている。この年平均成長率19.4%という驚異的な成長は、ヘルスケアにおけるMRなどの潜在力が急成長していることを明確に示している。例えば、セラピストがVision Proを使用して、各患者向けに特別に設計された環境を作成し、メンタルヘルスケアへのアプローチを最適化することもできる。医学教育においてもその影響度は大きく、Vision Proは、医療者を志す人向けにトレーニングとしての複雑な手術を実践するための安全な仮想環境を提供できるようになる。ほんの数年前まで想像もできなかった種類のトレーニングが可能となり、これにより手術の精度と患者の安全性が向上し、医療訓練の新時代の幕開けとなることであろう。

他にも大きな変革が考えられる分野として、教育とEコマースがある。教育市場では、AR、VR、MRにより、より没入型の学習体験へと移行するであろう。例えば、今までは写真だけで見ていた古代文明を、仮想的に歩き回るようなことも可能となる。Eコマース市場では、ARで強化された製品エクスペリエンスは、非ARの製品エクスペリエンスよりも200%魅力的であるというデータもでており、これにより2021年から2026年にかけて年平均成長率25%で大幅に成長すると考えられている。

このように、Vision Proの出現は生活を一変するほどの可能性を持っており、Appleのイノベーション力に感嘆せずにはいられない。