London Tech Week 2024 イベント参加レポート
2024年7月30日
London Tech Week (略称:LTW)は、毎年開催されているロンドンを拠点としたヨーロッパ有数の技術革新、成功事例などを紹介するイベントです。
今年の会場であるオリンピアでは、外国人投資家の関心を引こうと、様々な新興企業がブースを構え、新たなソリューションを披露しました。
更に、当日のスケジュールには、基調講演、パネルディスカッション、セミナー、そして展示会と、多くの情報を提供しており、来場者に対する最大の利益としては、様々な業界の関係者とネットワークを築く大きな機会であるということです。それを具体的に実現するため、参加者に対しソーシャルメディア(LinkedIn)を軸にしたプラットフォームを提供しており、基調講演やパネルディスカッション、セミナーで登壇したスピーカー側と参加者側が直接話せるよう、スピーカー側の空き時間を表示し、予約ができる仕組みを導入していました。また、非公開のセミナーも開催されており、主に半導体、AI、医療技術、量子技術など、英国の重要なセクターにスポットが当てられ、国際的なVCファーム経営者によるパネルディスカッションが行われ、英国内外のそれぞれの成功事例が紹介されていました。
■イベント概要
イベント名 |
LONDON TECH WEEK 2024 |
会期 |
2024年6月10日(月)から14日(金) ※メインイベントは6月10日から12日開催 |
開催場所 |
ロンドン、オリンピア |
主催者 |
London & Partners |
参加者 |
約45,000人 |
今回は、弊社がイベント参加を通じて聴講したパネルディスカッションの概要と訪問した企業ブース情報について共有いたします。
■参加パネルディスカッション
♯ |
タイトル |
公演時間 |
1 |
Why London Continues To Attract Global Funds |
30分 |
2 |
A Guide to Working Harmoniously with Generative AI |
30分 |
♯1 Why London Continues To Attract Global Funds
本パネルディスカッションでは、主要なグローバル・ファンドのいくつかが、英国の自国の才能を支援するハブとしてロンドンを選んだ理由についての洞察が共有されました。
講演者は、米国から英国や欧州に移ったシニア・パートナーや、次世代の新興企業を設立するために初期従業員に流動性を提供する欧州のIPO/M&Aの重要性について訴えました。英国は、資本が充実したエコシステムが実現されていることに加え、特にロンドンは、情報開示と統治が行き届いた環境であることが強調されていました。例えば英国プライベート・エクイティ&ベンチャー・キャピタル協会(BVCA)は業界全体をリードする団体であり、公共政策の支援組織でもあり、さらに、ロンドンには多くの投資銀行が存在し、国際的なVCに資金調達のアドバイスを行うことが可能で、市場としてのロンドンは歴史的な側面も含め、強固な信頼が築かれていること、国際的なファンドはもちろん、ヨーロッパ地域や中東域の投資を狙うファンドにとって、きわめて重要な中心地であることが伝えられました。
♯2 A Guide to Working Harmoniously with Generative AI
AIが人々の仕事に取って代わるツールとなるという話題が多い中、AIが生産性と効率を向上させ、その役割をより良い方向に変革する方法についても検討する必要があることが説明されていました。また、企業は新たなテクノロジーをシームレスに労働力に取り込むための戦略を検討する必要性を問われていることが語られました。
本パネルディスカッションでは、仕事をAIに置換することにより、テクノロジーが企業全体の効率性、生産性、コラボレーションをどのように増幅できるかに焦点が当てられました。特に、ジェネレーティブAI(GenAI)は急速にビジネスのあり方を変えつつあり、誰もがその流れに乗りたいと考えており、タスクの自動化であれ、効率性の向上であれ、GenAIにできることの魅力は強く、特にMicrosoft社のCo-pilotは象徴的な影響を全市場に与えているとの見解が述べられました。
■訪問企業ブース情報一覧(太字箇所、詳細記載)
♯ |
企業名 |
展示物 |
サービス名 |
1 |
Unilever UK Limited. |
企業におけるIT Sustainability |
– |
2 |
Saaswiz Softtech Private Ltd. |
AIに基づいたセキュアワークフローシステム |
Signedly |
3 |
Artiwise UK Ltd. |
AIに基づいた複合プラットフォーム対する顧客満足度調査システム |
Artwise |
4 |
Lead Forensics Limited |
Webサイト閲覧ユーザー調査システム |
Lead Forensics |
5 |
Tech Recycle Ltd. |
セキュアなICT機器廃棄 |
Tech Recycle |
6 |
Glaxosmithkline UK Limited. |
即自的なメタデータ収集とAI分析 |
– |
7 |
Serai Network (University of Sheffield) |
AI・ロボティクス技術の教育 |
– |
♯1 Unilever UK Limited『企業におけるIT Sustainability』
以下の実情を鑑み、技術発展の一報で、企業が具体的にサステナビリティ活動に取り組むことが必須となることについて、ブースにてレクチャーされておられました。
・ICT関連の温室効果ガスの排出量は2020年時点で最大2.8%程度となっており、航空業による排出量と同程度のレベルとなっている。
・2030年までには世界のICT企業の電力消費量は全体供給量のうち最大20%を占めると想定されている。
・2022年には62百万トンの電子廃棄物が排出された。
・AI技術の進歩、仮想通過関連のシステム処理量を鑑みると、2026年までには800 Terawatt-Hour以上の電力が必要となり、これは2022年の消費量と比較するとほぼ2倍となる。
♯7 Serai Network (University of Sheffield)『AI・ロボティクス技術の教育』
子供、もしくは大人に対するreskillとしてAI・ロボティクス技術の教育を進行していく組織です。急速に発達する技術に対して人々が適切な理解を得られるよう、また、今後次世代の技術革新を担っていく子供たちに興味関心をいただいていけるよう働きかけをしておられます。現在具体的に実施している活動としてはペットロボットの構築を目標としたシステム開発教育で、構築されたペットロボットは高齢者に対するセラピーのボランティア活動にも用いられている様です。
■最後に
London Tech Week 2024では、Unilever、GSKをはじめとする大企業やGoogle, Metaなどのテックジャイアント企業及び、南アフリカ、ドバイ、ウクライナ等、国を代表とした展示など、大きなブースが会場の半分以上を占める一方で、スタートアップ企業の展示も多く存在していました。また、スタートアップ企業の展示の多くがAI活用したを支援するまたはAIを開発技術として活用していました。
弊社では、日々進化する技術やビジネスニーズをとらえるため、外部で開催されるイベントへの参加も行っております。記載されている情報に関し、ご質問、ご不明点、ご相談事項等ございましたらお気軽にお問合せくださいませ。
引き続き、ご愛顧賜りますようお願い申し上げます。