パスワード管理の重要性

2024年9月28日

利用するシステムの数が増加する事に比例し、ユーザーは多くのパスワードを使用しているが、ITチームにとっては、これらのパスワードを管理することに加え、接続用に使用されるマシンパスワードや、セキュリティキーをコードで保持するといったことなども考慮すべきであり、これらの複合的要素がパスワードセキュリティの管理を複雑にしている。また、ユーザーがパスワードの再利用、紙またはデバイスに書き留める、ブラウザーに保存する、資格情報をコードで保持するといった不適切な習慣を常態化させる可能性もあり、パスワードを侵害することで重要なシステムを制御することや機密データの窃取を目的としたサイバー犯罪者にとって、パスワードは優先度の高いターゲットとなっている。

上述の課題に対する回答となり得るソリューションとして、より厳格なパスワード制御を実施し、ユーザーにパスワードをより安全かつ簡単に管理する方法を提供する集中型プラットフォームのエンタープライズパスワード管理がある。

エンタープライズパスワード管理では、パスワードは単一のマスターログオンを通じてアクセスされる安全なボールト(金庫)に保存される。管理されたパスワードは、多くの場合、ユーザーがパスワードを知らない、またはマシン、サービスがパスワードを保持していないとしても、ログインプロンプトで自動的に適用でき、これにより手動入力によって生じるリスクが大幅に軽減される。さらに、潜在的なパスワードセキュリティリスクを明らかにし、パスワード管理を自動化し、ユーザーに対して一意で複雑なパスワードを自動的に作成し、それらをローテーションしてパスワードの品質を向上させる。また、エンタープライズパスワード管理はシングルサインオンやIDライフサイクル管理などの機能を追加し、より広範なID管理プラットフォームの一部になりつつあるとともに、生体認証やパスキーなどのパスワードレステクノロジーを使用して、組織からパスワードを完全に排除するという目標への架け橋も提供する。

これらエンタープライズパスワード管理では、基盤となる堅牢なプラットフォームやソリューションを長年にわたり提供する成熟したベンダーが多数存在しており、適切なパスワード管理ソリューションを導入することで、大幅な改善が実現する。柔軟性、パフォーマンス、拡張性を備えた大企業向け、使いやすさと導入のしやすさを重視した中小規模企業向けと目的に合ったソリューションが利用可能となっている。提供方法も、シンプルさ、スケーリングの容易さとスピード、柔軟なライセンスモデルを備えたSaaS、顧客のデータセンターまたはクラウドテナントに配置し、単一の顧客固有に提供するオンプレミス、テクノロジーを使用して顧客に特注のサービスを提供できるようにするマネージドサービスプログラムなどがある。

パスワードの侵害は深刻な脅威であり、侵害された場合の影響は甚大になる可能性がある。増え続けるサイバーセキュリティの脅威に対処するうえで、パスワードセキュリティ体制の改善は、あらゆる規模の組織にとって優先事項である必要があると考える。