携帯電話と衛星通信
2025年7月12日
アメリカでは約130万平方キロメートル以上の地域が、どの携帯電話会社の基地局にもカバーされておらず、これはテキサス州のほぼ2倍の面積に相当する。
このような背景において、アメリカの3大通信キャリアの一つであるT-Mobileが、この7月からほぼどこにいても通信できるよう、新たに衛星通信を利用したT-Satelliteの提供を開始した。これは、Space-XのStarlink衛星との直接接続により実現したもので、日本ではすでにKDDIが同様のサービスを展開している。
650基以上の衛星を擁する、世界最大の衛星インターネットサービスを展開するStarlinkとの接続は、今まで携帯電話のネットワークで通信ができなかった場所でも接続を維持することを可能にし、これによりアメリカのほとんどの屋外エリア(ただし、空が見える場所)で、テキストメッセージの送信や衛星通信に対応したアプリの利用が可能となる。設定を変更する必要もなく、携帯電話ネットワーク圏外で自動的に衛星通信に切り替わり、その際は携帯電話右上に衛星アイコンが表示される。T- Satelliteはメッセージと位置情報の共有にも対応しており、警察や消防など緊急時の連絡も可能となる。衛星通信を利用するのに独自のデバイスを必要とすることなく、手持ちの携帯電話で利用できるのは、非常に画期的なサービスと言える。ただし、衛星間での再接続の際、自動的に瞬断されるが、メッセージの送信はバックグラウンドで継続的に行われる。
T-Satelliteは、AndroidでもiOSでも機種を問わず、T-Mobileの提供する上位プランで無料で利用でき、また他のプランでもオプションとして月額10ドルで追加することができる。さらに、T-Mobile以外のユーザーも利用申し込みが可能となっている。今後数ヶ月で、さらに多くのデバイスに対応、最適化されたアプリ向けに衛星データの提供、さらに多くの機能を追加していく予定で、将来的には海外旅行や国際水域での衛星サービスも提供していく予定となっている。