RSA Conference 2026より
2026年3月30日
サイバーセキュリティにフォーカスしたイベント”RSA Conference”が、サンフランシスコにて3月23日より4日間にわたり開催された。第35回目となる今年は、”The Power of Community -コミュニティの力”をテーマと掲げ、機械的な速度で迫る脅威の時代において、人間中心のリーダーシップと集団的防衛の重要性を提唱している。現代の脅威に対抗するためのスピードをAIがもたらす一方で、コミュニティ間の連携や倫理的なリーダーシップに象徴される人間的要素こそが、依然として業界にとって最も重要な資産であるということを強調している。
生成AIの利用が普及し、さらに現在は自律的に特定の業務タスクを完了するエージェントAIへの移行が進んでいる。約650のベンダーが出展したエキスポ会場でも、このエージェントAIに関する出展社が目立った。また、今年は特に新規参加ベンダーが多く、今年初めて出展したベンダーは全体の約15%に相当する94社もあったことから、いかにAIとセキュリティに関連したプロダクトやソリューションを提供するスタートアップが続々と出てきているかがわかる。
いくつか行われた基調講演では、自律型エージェントをどのように管理し、セキュリティを確保して信頼できるデジタル基盤をいかに構築するか、責任のギャップを埋め、システムリスクを管理するために、AI導入に対する経営陣のガバナンスの必要性、脅威アクターを受動的な防御からAIを活用したインテリジェンスを用いて能動的に妨害することへの移行などが概説された。
その他の重要なトレンドとして、アイデンティティの危機がある。2026年版RSA ID IQレポートによると、組織の69%がアイデンティティセキュリティの不備に起因する侵害被害を受けていたことが明らかになった。特筆すべきは、こうした侵害事例の45%において、企業が1,000万ドル以上の損害を被っていた点であり、これによりアイデンティティ保護がいかに重要であるかがわかる。

(イメージはエキスポ会場の様子)
毎年、最も革新的なスタートアップを選出するInnovation Sandboxでは、自律型AIエージェントが人間の監視なしに企業ネットワーク内で稼働するために必要な安全装置を提供する、Geordie AIというベンダーが選出されている。Geordie AIは、企業向けのAIエージェント専用のセキュリティ/ガバナンス・プラットフォームを提供するスタートアップで、自律型AIエージェントの利用が社内外で増える昨今、「どんなエージェントが、どこで、何をしているか」「どんなリスクが生じているか」をリアルタイムに把握・制御することを目的にしたプラットフォームを提供していることで、注目されている。
最後に、RSAC 2026の面白い試みとして、College Dayなるものが重点的に展開された。これは、世界全体で350万件以上ものサイバーセキュリティ関連職が人員不足となっている現状を受け、RSACが大学生・新卒向けに特化した無料の公式プログラムである。イベントへの無料参加機会を提供することで、次世代のサイバー防衛の担い手育成にも注力している。
