2025年の崖問題とDX

2023年2月14日

みなさんは2025年の崖問題という言葉を聞かれたことがありますか。この言葉は、前回のコラムでご紹介した”DX推進指標とそのガイダンス”が発表された前年の2018年に公開された、同じく経済産業省主導によるデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会が発表した”DXレポート”の中で紹介されているもので、簡略に言うと、DXの足かせとなっているとも考えられるシステムの老朽化に伴う経済的損失が、2025年以降、最大で年間12兆円に達する可能性があると警告を発しているものである。

この数値は、レガシーシステムに起因したシステム障害による経済損失や基幹系システムの稼働年数などをベースに算出されたもので、この2025年の崖問題の対処のためにも、DXの加速化は生き残りをかけて企業が行う最高の機会とも言える。

DXはシステム面のみではなく企業文化そのもののデジタル化への変革も必要とされることから、2025年の崖問題の対応策として、社内外のリソースや最新のテクノロジーをバランス良く活用するシステムの内製化やERPの利用による最適化されたシステム構築を行い、スクラッチ開発に偏重しがちな傾向からの是正とブラックボックス化の防止を図ることや、社内IT人材の育成に加え、経営の観点でのIT戦略を策定、実行できるCIOの存在は不可欠となりつつある。

企業がデジタル技術を活用して業務を変革し、新しいビジネスモデルや価値を創造することが重要になってきており、今後、以下のようなトレンドが進むと予想される。

・AIによる自動化:
これまで人が行っていた業務の自動化が進み、業務の効率化が進み、生産性向上やコスト削減につながると予想されている。最近注目を浴びている自然言語処理の分野で高い精度を誇る大規模な言語モデルChat GPTは、大量のテキストデータを学習し、自然言語の生成や応答生成、文章の要約、質問応答などのタスクを実行でき、オンライン上でのチャットやメッセージングにおいて、人工知能による自然言語の自動生成や応答を提供するチャットボットとして活用でき、カスタマーサポートの自動化や、営業支援、コンテンツの生成など、様々な用途に利用可能である。

・IoTによるビッグデータの活用:
様々な機器やセンサーが収集したデータをビッグデータとして活用し、意思決定のための正確な情報が利用可能になり、対策や戦略立案がより高精度に行えるようになる。

・クラウドサービスの拡大:
DX基盤の一つとして不可欠クラウドサービスは、ビジネスの柔軟性やスケーラビリティを高めるために、今後より多くの企業で利用が進展すると思われる。

・データセキュリティ:
データの重要性が高まるにつれて、データセキュリティに対する要求も高まっており、より高度なセキュリティ技術を用いた情報セキュリティ対策強化が必要になる。

・ワークスタイル変革:
コロナ禍によりワークスタイルが変革されてるが、リモートワークやフレキシブルワークの浸透により、コラボレーションツールやオンラインミーティングシステムなどが重要性を増す。

新しい技術やサービスを適切に組み合わせ、迅速かつ柔軟に変化に適応することが企業価値を高めるための重要な取り組みの1つとなっている。